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モントルー・ノートHEADLINE

~シヨン城 うらおもて~


モントルーに来たのは今回初めてでしたが、私がビックリした事が2度あります。
ひとつはモントルーという町がとても小さいという事です。(2度目のビックリは後述します)
レコード等から受けるイメージや、ジャズ・フェスティバルの規模からいって中小都市くらいの町だと私は勝手に思っていました。

しかし、実際のモントルーは”町”というより”村”に近い大きさです。
モントルーの町の小ささはレマン湖の遊覧船に乗って、この町の全景を見れば分かります。
なにせメイン・ストリートは500メートルくらいの駅周辺、大きな建物といえばホテルが何軒かとストラビンスキー・ホールとそれに隣接するマイルス・デイヴィスホールのみといって良いくらいです。
そしてこのど~んと岸辺にそびえる2大メイン・ホールとホテルを見れば、いかにこの町がジャズ・フェスティバルに力を入れているか、また経済的恩恵に授かっているかが察知出来るというものです。

さてモントルーの駅に最初に降り立ったジャズ・ファンの行くところはひとつしかありません。
そう、”シヨン城参り”です。
とにかく、モントルーに来たからにはシヨン城見学は必須事項です。
一日目、モントルー駅に降りた私も、さっそくシヨン城に足を向けました。
駅を出てメイン・ストリートに降り、左に曲がってあとは道なりに進むだけなので迷うことはありません。
ここからシヨン城までは歩いて40分くらいです。
歩きで40分といえばかなりの距離ですが、これがまた花が咲いている湖畔沿いの楽しい道で、あまり苦になりません。

      ▲かつてメイン会場だったカジノ
途中、ストラヴィンスキー・ホールやマイルス・デイヴィスホールが完成する前、モントルー・ジャズ・フェスティバルのメイン会場となっていたカジノの前を通ります。
あたりは閑散としていて人の出入りもなく、昔の栄華をうかがわせるものはまったくないのですが、しかしレコードに残された名演の数々は間違いなくここでレコーディングされたわけで、私もしばし足を止め、かなり古びたカジノの建物をじっと眺め、しばし感慨にふけるのでした。

さていよいよシヨン城が近づいてきました。
お城は湖の岸辺ぎりぎりに建てられていて、「よく長い間崩れなかったなあ」と思わせられます。
なるほど、遠くから見ますと、逆光に霞んで確かにお城が湖に浮かんでるようです。
近づいて段々大きくなっていくシヨン城を見ていると「遂にモントルーに来たのかア」という実感が湧いてきます。

    
▲シオン城の正面側(写真:右)

そして駅から歩くこと40分、遂にシヨン城の正面に立った私は思わずのけぞってしまいました。
そして、これがモントルーに来てビックリした2回目の出来事です。

このシヨン城、正面から見るとなんと言いますか、お城というよりかなり「古びた穀物倉庫」といった感じなんですよ、これが。

建物のデザインも無骨で、日本人が一般に持っているお城というメルヘンチックなイメージがあまりありません。
たとえばドイツのロマンチック街道なんかに点在している古城なんかとは、まったく趣きが違います。

考えてみればそれもその筈、このシヨン城は貴族や王様が建てたものではなく、9世紀にイタリアからアルプスを越えてやってくる東方商人たちに通行税、物品税をかけるための関所として造られたものなのです。しかもバイロンに詠われた「シヨン城の囚人」(ジュネーブの宗教改革者F・ボニヴァルのこと)が長い間、幽閉されていた煉獄でもあります。
「なるほど、それでこういうデザインになったのかあ」と一人で納得してしまいました。

そんなシヨン城ですが、さて、少し離れて湖側から見ますと、あらま、レコード・ジャケットでよく見るお馴染みのうっとりとするシヨン城が現れるではないですか。
いかに関所・煉獄として建てたものでも、どこかにチラッとハイセンスなものを添えるという、ヨーロッパ人らしい建物といえそうです。

それにしても、正面側(道路側)から見る印象と、後ろ側(レマン湖側)から見る印象が、これほど違うお城というのも珍しいのではないでしょうか?

いま正面から見たお城が無骨な印象....と書きましたけど、いや、しかしじっと見ていますとそこはやはりヨーロッパの古城、言い知れぬ味といいますか、重厚な雰囲気が漂ってきます。「幾度の苦難と危機を乗り越えてきた」というヨーロッパの歴史を感じさせます。

さて、このシヨン城の正面には小さな水飲み場があります。
この水が大変おいしい。
スイスの水はアルプスを源流にしていますから、他のヨーロッパの国々と違ってそのまま飲んでも大丈夫です。(他の国は基本的に硬水なので)
きりっと冷えたこの水は、40分近くも歩いてクタクタになった身体の疲労を回復させるのに充分なおいしさでした。

さて無事に”シヨン城参り”を終えた私は、モントルー駅までバスで帰りました。
お城の近くにはバス停留所があり、ジャズ・フェスティバル開期中は無料のバスが町の近くを引っ切りなしに走っていますし、シヨン城の岸辺には遊覧フェリーの船着場(駅から2番目)がありますから、アクセスは結構良い方です。

私がシヨン城に到着したのは夕方6時過ぎだったので、お城の内部は見ることが出来ませんでしたが、日中は一般の観光客にも公開しています。(こちらは有料です) 
時間がある方は内部も見学されてはいかがでしょうか?

  




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