本文へスキップ

MY MUSIC LIFEaccess

ケイ 赤城 インタビュー 〜大学教授篇〜


(TOP) (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)


私は現在ロスに在住していますが、こちらではカリフォルニア大学(アーバイン分校)の音楽教授として一般学生向きにジャズの歴史を、音楽専攻の学生に理論を、作曲、
実技などを教えています。生徒数は約150名くらいおりまして、大学一年生から大学院までですから、年齢的にも18才から24才あたりまでと様々です。

私が受け持っている学科のひとつであるジャズの歴史の講義、これは一般教養ということで、みんな「簡単な授業じゃないか」とタカをくくって生徒さんも来るわけなんですけど、実はこれが大学で一番難しい講義なんです。みんな鼻血を出して帰っていく。(笑)
でもね、それを最後までやり続けた連中は「ジャズの理解度が深まった」と異口同音に言いますね。

といいますのはアメリカという国はやはりジャズの国ですし、日常的に生活の中にジャズが氾濫しているわけです。
日本と違ってジャズを聴くということが特別な事という意識がないわけですし、そうした中で育ってきた彼らは「ジャズの講義というのは、割とやさしい授業なんじゃないか」という先入観のようなものがある。それで大学の授業も勉強し始めるわけですけど、でもジャズという音楽はいざ深く入り込んでいくと大変難しい音楽なんですよね、歴史ひとつ取ってみても。

彼らは別に最初からジャズのプロ・ミュージシャンを目指して集まって来るわけではないのです。ジャズの授業も一般教養の選択科目のひとつですから。ヨーロッパの人達がベートベンやバッハを勉強するのと同じ意識でジャズを勉強するわけです。そういうのを見ると、やはり「アメリカはジャズの国だな」と思わせられますよね。

20代後半から30代の連中はロイ・ハーグローブ(tp)やジョシュア・レッドマン(ts)といったミュージシャンを追っかけるのに熱中していますが、おもしろいのは10代の人達です。

ヒップ・ホップのリズムにチャーリー・パーカーやマイルス、ルイ・アームストロングといったジャズの巨人のプレイを乗せてプレイしたりと、我々には考えもつかない事をやったりする。

ええ、頼もしいなと思いますね。ジャズの未来も捨てたもんじゃないですよ。